2008年3月2日日曜日

探してほしい人からだけ探してもらえるソーシャルアドレス帳「Ripplex」

2007年12月末に1.0をリリースしたアドレス帳ツール「Ripplex」は“自ら育つ”をキーワードにコミュニケーションツールの問題を解決しようとしている。
 RipplexはmixiのIDや複数の電子メールアドレス、携帯電話番号、携帯メールアドレスなどを管理できるアドレス帳ツール。複数のPC間で情報を同期したり、既存の環境からID情報をインポートするなどの機能を備える。その程度の機能ならほかのツールでも実現しているが、Ripplexがすごいのは、アドレス帳が自ら育つこと。

 自ら育つとはユーザーAがユーザーBの情報をRipplexに登録すると、ユーザーBがすでにRipplexを利用している場合、自動でAとBの情報がリンクされ、Aのアドレス帳に不足している情報が補われるということ。つまり、ユーザーAがBの電子メールアドレスだけを入力すると、mixi IDや電話番号などが自動で補われる。一般のSNSのようにユーザーAはBを検索する必要はない。Bの情報の一部を入力するだけで、ほかの情報が補完される。
 もちろん、ユーザーAがBの情報の一部を入力しても自動ですべての情報が入力されるわけではない。Bが「Aに対してこれらの情報を開示する」と認めた場合だけ。RipplexはAとBがすでに知り合いでお互いの何らかの連絡先を知っていることが前提。ユーザーAがBの電子メールアドレスしか知らなくても、Bが許可すれば携帯電話番号やmixi IDが開示され、新しい手段で連絡を取り合うことができるようになる。

 知り合いを探すということはSNSでも一般的に行われているが、そのプロセスは非常に危うい状況になっている。SNSでユーザーAがBを検索で見つけることができるということは、世界中のSNSユーザーがBを見つけられるということを意味する。ユーザーはBはそれを嫌って検索結果に出にくいようなプロフィールにしてしまう。これではSNSはネットワークの意味を成さなくなる。Ripplexはこの問題の解決をSNS外で実現する。

 RipplexはWindowsとMacで動作するクライアントアプリケーション。Webサービスではなく、ローカルで動作するクライアントアプリケーションとしたことで、ユーザーは自らの個人情報をネット上に置く必要がなくなる。Ripplexサーバにクライアントから送信されるのは非可逆なハッシュ値のみ。ローカルで動作し、Ripplexサーバ自体は個人情報を持たないということはRipplexの今後にとって大きな意味を持つ。
 Ripplexが目指しているのは単体のアドレス帳ツールではない。SNSなどすでにあるさまざまなサービスのユーザー同士を接続するための結束点。ユーザーAがユーザーBの情報をRipplexに登録した際、ユーザーBがSkypeを使っていることに気付き、自分も使ってみようとする。Ripplexはこのように知り合いや友達同士のコミュニケーション手段を増やすソーシャルツールとしての可能性を秘めている。
ローカルで稼働しサーバ上に個人情報を持たないことで、Ripplexは存在感を薄くして自由に異なるサービス同士を接続することができるようになる。

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